17 致死的心室性不整脈
■ 心肺蘇生などの致死的心室性不整脈による有害事象を有する重症多枝病変患者に対するCABG 【ClassⅠ,evidence level B】.
■ 致死的心室性不整脈を伴い,心筋虚血を証明される重症多枝病変患者に対するCABG 【ClassⅡ a,evidence level B】.
■ 心筋梗塞後の瘢痕組織を伴う心室頻拍に対する左室形成術 【ClassⅡb,evidence level C】.

 心室性不整脈を伴った患者に対するCABGの効果については,生存者における院外での心停止,突然死,電気生理学的検査による心室性不整脈の誘発などから
検討されている620).術前に心停止歴を有する患者には,CABGにより,不整脈の消失,突然死の減少,良好な長期成績が可能となり,特に,運動による不整脈の誘発が証明されている患者には有効であるとされているが,心室頻拍は残存する心内膜瘢痕組織の周辺のリエントリーが関与しているために,血行再建術による治療効果は,心室細動よりも期待できない.心室頻拍に対しては,瘢痕組織が関与しているため,冠状動脈バイパス術だけでなく,同時に左室切開し,その瘢痕組織を切除し,その周辺領域への冷凍凝固術等のアブレーション術を加える左室形成術が有効であるとする報告もある621)-623)

 また,CABGにより,すべての有害事象を消失されることは不可能で,植込み型除細動器(ICD)が必要となり,また術後に心室性不整脈が再発したり,電気生理学
検査にて誘発される時には,ICDが必須である624),とする一方,瘢痕組織を切除することで,ICDは不要であるとする報告もある625)
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虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン
(2011年改訂版)

Guidelines for the Clinical Application of Bypass Grafts and the Surgical Techniques( JCS 2011)