2 エビデンスの採用基準とレベル付け,解釈および奨励クラス分類
本ステートメントはガイドラインの基本骨格を示すものであるので,ステートメントとその解説文の作成にあたり採用したエビデンスは,基本的にレベルの高いもの
(レベルA;複数のランダム化試験,あるいはメタ解析の結果によるもの,レベルB;単一のランダム化試験または,多施設・大規模レジストリー研究の結果による)に限定した.また現時点ではCABGとDESを使用したPCI を比較したランダム化試験はSYNTAX試験(www.syntaxscore.com)しかなく,この試験に限りレベルCのサブ解析結果も採用した.レベルCは専門家および小規模臨床試験,サブ解析結果等で意見が一致しているものである.
奨励クラス分類
クラスⅠ: 手技・治療が有効,有用であるというエビデンスがあるか,あるいは見解が広く一致している.
クラスⅡ: 手技・治療が有効,有用であるというエビデンスがあるか,あるいは見解が一致していない.
Ⅱa: エビデンス,見解から有用,有効である可能性が高い.
Ⅱb: エビデンス,見解から有用性,有効性がそれほど確立されていない.
クラスⅢ: 手技・治療が有効,有用でなく,時に有害であるとのエビデンスがあるか,あるいはそのような否定的見解が広く一致している.
真の治療効果はランダム試験により評価が可能であるが,実際の臨床現場でのPCI とCABGの適応・治療成績の評価はランダム化試験やメタ解析の結果だけでは困難である.したがって多施設・大規模レジストリー研究も重視した.また我が国の実際の安定冠動脈疾患患者の病態,治療ならびに成績が欧米と異なることは知られているが,レベルの高いエビデンスの多くは欧米のものである.今後は我が国のPCI とCABGのデータベースの構築とその解析から我々のエビデンスを出す必要がある.
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虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン
(2011年改訂版)
Guidelines for the Clinical Application of Bypass Grafts and the Surgical Techniques( JCS 2011)