人工心肺の使用が,炎症性サイトカインの放出を喚起し,臓器障害の原因と成り得ることは報告されている577),578).同時に,液性・細胞性免疫に影響を与えるこ
とは分かっているが,これが腫瘍免疫能の低下を意味するかどうかについて現在の所は不明である579),580).また,人工心肺の使用の有無が,癌患者の予後に有意な差を与えなかったという報告もある581)-583).しかし最近では,人工心肺非使用・心拍動下CABG(off-pump CABG)の普及に伴い,悪性新生物を合併する患者において冠動脈バイパス術を行う場合には,できるだけoff-pump CABGで行う傾向にある584)-586)
1 冠動脈バイパス術の手術侵襲は,悪性新生物を悪化させるか?
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虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン
(2011年改訂版)

Guidelines for the Clinical Application of Bypass Grafts and the Surgical Techniques( JCS 2011)