消化管の癌を合併する患者において冠動脈バイパス術を行う場合には,ヘパリンを使用することによって,消化管からの出血が増す危険性がある.また,血液の癌
を合併する患者では,術後出血や創感染の危険が有意に増すという報告もある587),588).これらの場合には,off-pump CABGで冠動脈の血行再建を行うことにより,術後合併症の発生率の軽減を期待できるが,その有効性を実際に証明した臨床研究はほとんどない.
2 悪性新生物の存在は,冠動脈バイパス術のリスクを増すか?
虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン
(2011年改訂版)
Guidelines for the Clinical Application of Bypass Grafts and the Surgical Techniques( JCS 2011)