ある種の悪性新生物,特に肺癌や食道癌の手術を冠動脈バイパス術と同時に行う試みは多数報告されている585),589),590).一期的手術の問題点は,手術時間の延長に伴う侵襲の増大,ヘパリン化に伴う合併手術創からの出血量の増大,不潔手術を同時に行った場合の縦隔洞炎の危険性の増大などが挙げられる.off-pump CABGでは完全ヘパリン化を必要としないため,一期的に手術を行っても出血を軽減できる可能性があるが,その有効性を実際に証明した臨床研究はほとんどない.
3 悪性新生物に対して手術が必要な場合,これを一期的に行うべきか二期的に行うべきか?
虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン
(2011年改訂版)
Guidelines for the Clinical Application of Bypass Grafts and the Surgical Techniques( JCS 2011)