1 人工心肺使用(CCAB)と非使用(OPCAB)との比較
①在院日数

 34.2± 20.1日vs. 36.7± 19.6日(p=0.01), 術前11.1± 11.3日vs. 10.9 ± 11.1日(NS),術後22.0± 14.8日vs.25.0± 14.5日(p< 0.001)とOPCABが有意に短かった.

②請求総額

 3,100,000±1,140,000円vs. 4,100,000±1,960,000円(p< 0.001)で有意にOPCABが低額でありその差は約100万円にのぼった.

 項目別には“ 手術” 1,720,000 ± 600,000 円vs.2,580,000 ± 860,000円(p< 0.001),“ 処置”40,000±80,000 円 vs. 70,000 ± 30,000 円(p=0.02),“検査”
260,000 ±160,000円vs. 260,000±170,000円(NS),“画像”100,000± 90,000円vs. 100,000 ± 80,000円(NS),“注射”150,000 ± 220,000 円vs. 220,000 ± 600,000 円(p <0.001)で,“手術”での差の86万円が両者の差の大半を占めることがわかった.

 “手術”をさらに細かく見ると“材料”220,000±360,000円vs. 790,000± 440,000円(p< 0.001),“薬剤”160,000 ± 120,000 円vs. 240,000 ± 260,000 円(p <
0.001),“手術その他(技術料)”1340,000± 290,000円vs. 1,560,000± 290,000円(p< 0.001) といずれもOPCABが少なかった.“材料”や“薬剤”がOPCABで
安く済むことは当然といえる結果で,OPCABの経済効率の良さを表しているものの,医師や病院への労働の対価である“手術その他(技術料)”までOPCABには30%加算が設けられているにもかかわらずCCABよりも20万円以上低額で極めて不合理な結果であることが明らかとなった.
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虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン
(2011年改訂版)

Guidelines for the Clinical Application of Bypass Grafts and the Surgical Techniques( JCS 2011)