比較的循環動態の安定しているUAPにおいては,原則的に通常の待機手術と同じグラフト選択で良いと考えられる.一方,AMI 症例で一刻も早い血流再開が要求
される場合,従来は,短時間で採取が可能でグラフト流量も多い大伏在静脈グラフト(SVG)を用いることが推奨されてきた. しかし, 超音波メスを用いてskeletonization法で内胸動脈(ITA)を採取すれば,短時間で流量の多いグラフトを得ることができる.有茎グラフトであるITAは,中枢側吻合を行う必要がないので,
術者によってはSVGを用いた場合と変わらず短時間で血流を再開することが可能である.また,多変量解析を用いた検討では,AMI 症例にITA-LAD吻合を行うこと
が,他の因子と独立して死亡率を有意に低下させた615).
3 グラフトの選択
虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン
(2011年改訂版)
Guidelines for the Clinical Application of Bypass Grafts and the Surgical Techniques( JCS 2011)